目次
前回は発芽する玄米について解説しました。
今回は玄米の発芽方法、発芽玄米の炊き方について解説していきます。
・玄米は2種類に分けられ、
生きている玄米、
死んだ玄米がある
・生きている玄米は発芽して、
死んだ玄米は発芽しない
・生きている玄米を取り扱っている販売者は、
①玄米を選別している
②温度15℃前後で保管している
③湿度65%前後で保管している
石川商店が取り扱う玄米は、玄米を選別し、低温・低湿度で管理しており、生きている玄米になるため、発芽させることが可能です。
それでは、次の章で具体的な発芽方法と、発芽玄米の炊き方について解説していきます。
発芽のさせ方はいたってシンプル。
約12時間、玄米を水に浸すだけです。
水の温度により、発芽する時間は変わりますが、
約12時間あれば、生きている玄米はほとんど発芽します。
玄米は、十分に水を吸収すると透き通った黄金色から上の写真のように白濁色に変化します。
スーパーで購入できる発芽玄米のお値段は1kgあたり約1,400円なので、
自宅で玄米を水に浸す一手間を惜しまなければ、石川商店の玄米価格と比べると約35%(約500円)もお得になります。
12時間かけて発芽させることを面倒に思われる方もいらっしゃると思いますが、4つの大きなメリットがあります。
玄米を発芽させると血圧の上昇を抑えたり、
脂肪の燃焼を促進する働きを持つGABAが大幅に増加します。
※玄米
GABA含有量 2mg/100mg
参考資料:農研機構
※発芽玄米
GABA含有量 15-17mg/100mg
参考資料:日本食品分析センター
消化酵素アミラーゼが活性化し、デンプンがブドウ糖やオリゴ糖に分解されることで甘味が増し、消化吸収がスムーズになります。
消化酵素フィターゼが活性化し、フィチン酸を分解することでミネラルの吸収阻害が抑制されます。
玄米に限らず、白米も同様に炊飯前に十分に吸水させることが、美味しい炊飯の絶対条件です。
白米は、約2時間で吸水限界(飽和値)を迎えますが、
玄米は、約24時間で吸水限界(飽和値)を迎えます。
玄米は、防水性の非常に硬い層(ロウ層)におおわれているため、吸水性が非常に悪く、吸水させない状態で炊飯すると硬く、ゴワゴワな食感になってしまいます。
そのため、美味しい玄米ご飯を炊飯するためにも、長時間の吸水が必要不可欠です。
理想は約24時間吸水させることですが、
以下の数値のとおり、約12時間でほぼ吸水限界を迎えるため、
炊飯するときは12時間の浸水で問題ありません。
玄米: 1時間 15~17%
玄米: 2時間 18~22%
玄米:12時間 32~34%
玄米:24時間 35~36%
詳しい炊飯方法は次の章にまとめますが、12時間浸水させることは、玄米を発芽させ栄養価を高めるためだけでなく、美味しい炊飯にもつながりますので、ぜひ試してみてください。
ちなみに、最近、人気の出ている食べやすい玄米の「ロウカット玄米」は、浸水させても発芽はしません。「ロウカット玄米」は特殊な技術で精白しているため、吸水性が高まり、白米のように炊きやすく・食べやすい特徴を持ちますが、玄米に比べると栄養価はどうしても落ちてしまいます。
発芽玄米を炊飯するなら、圧力鍋での炊飯をおすすめします。その理由は、圧力鍋の「圧力」と「沸点の高さ」にあります。
通常、水は100℃で沸騰しますが、圧力鍋を使用すると内部の圧力が増して沸点が110℃〜130℃になります。玄米は硬い防水性の層(ロウ層)に覆われているため、高圧力と高温で加熱する必要があります。圧力鍋で炊くことで、玄米は水をよく吸収し、中まで均等に火が通り、モチモチ、やわらかく、ふっくらとした食感のご飯になるのです。
一方、炊飯器の内部圧力は低く、温度も100℃程度のため、玄米は炊き上がりがボソボソの食感になりやすいです。洗い方や浸水時間を工夫しても、炊飯器での炊飯は圧力鍋には勝りません。
圧力鍋をお持ちでない方で玄米を食べたい場合は、低アミロース米をおすすめします。低アミロース米とは、もち米と普通のお米(コシヒカリなど)の中間のやわらかさと粘りを持つお米です。例えば、「淡雪こまち」、「ミルキークイーン」が代表的です。低アミロース米は、3時間の浸水で普通の玄米より約10%多く吸水します。芯まで吸水できれば、圧力と熱は不要となり、炊飯器でも美味しく炊飯できます。そのため、低アミロース米は、玄米でもそのまま炊けることが最大の特徴です。
以上のことから、玄米の炊飯は圧力鍋が最適ですが、炊飯器を使用する場合は低アミロース米を選び、最低3時間、理想は12時間浸水させることをおすすめします。
1.計量
1合は150gになるため、おすすめは正確に計量すること。炊飯器の計量カップを使う場合はお箸などですりきり一杯で計量します。
2.水通し
玄米の表面にある汚れを洗い流すために水を掛けてすぐに水を切ります。
3.洗米
水を切った玄米をかぎ爪の形にした手で15回かき混ぜます。
4.ゆすぎ
水を入れてやさしく玄米を5回ほどゆすいで水を切ります。
5.水加減
玄米の1.2倍(玄米2合300gの場合、360g)の水を入れます。
6.浸水
冷蔵庫で最低10時間、理想は12時間、浸水させます。
圧力鍋の場合、浸水をしなくても炊けますが発芽しないため、せっかく玄米ご飯を炊くのであれば最低10時間浸水して発芽させてから炊飯しましょう。
7.炊飯
圧力鍋で強火で7分、弱火で20分加熱します。
強火:鍋底に勢いよく当たるくらいの火加減
弱火:鍋底にようやく届くか届かないかくらいの火加減
8.蒸らし
最後に火を消して15分圧力鍋に入れたまま蒸らします。
9.ほぐし
蒸らしが終わったらほぐして完成です。
炊飯器で玄米を炊飯する場合も、水通し、洗米、ゆすぎ、浸水までは一緒です。ただし、水加減は炊飯器釜の内側に記載された玄米の水位線まで水を入れ、玄米モードで炊飯しましょう。
以上、玄米の発芽方法や発芽玄米のメリット、炊飯方法をお伝えしました。第三部では、玄米の健康効果について解説しますのでお楽しみに!
この記事を書いた人
石川 和明
1989年生まれ。石川家三男。Hawaii Pacific Universityを卒業後、IT系人材会社に入社。約10年の人事コンサルティング経験を経て、石川商店へ戻る。精米、企画、営業などを担当。お米と雑穀、仕事大好き人間の一児の父。五ツ星お米マイスター、お米ソムリエ、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、雑穀調合士、千葉県農薬管理指導士。累計炊飯実験数:3,000回以上。
1989年生まれ。石川家三男。Hawaii Pacific Universityを卒業後、IT系人材会社に入社。約10年の人事コンサルティング経験を経て、石川商店へ戻る。精米、企画、営業などを担当。お米と雑穀、仕事大好き人間の一児の父。五ツ星お米マイスター、お米ソムリエ、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、雑穀調合士、千葉県農薬管理指導士。累計炊飯実験数:3,000回以上。