「千葉日報」に世界が認めた雑穀ごはんと掲載されました。
健康食ブームを背景に注目を集める「雑穀ごはん」。あわ、ひえ、きびなどを米に混ぜただけの素朴な食べ物が、自然食を売りにした店だけにとどまらず、ファミリーレストランのメニューにも登場するなど着々と支持を広がている。そんな加熱ぶりを尻目に、20年以上前から雑穀ごはんを世に送り出す「業界の草分け」が君津市にある。
米販売業の石川商店が玄米と雑穀8種類をブレンドした「五穀米」を発売したのは1989年。
ある一人の顧客からの注文で、雑穀のしいてを始めたのが商品化のきっかけだった。石川善雄社長自身が食べてみて、魅力に惚れ込んだ。「ビタミンや食物繊維などが豊富で、ダイエットや免疫力の向上に効果がある。家族やスタッフは毎日食べてます」
ただ、開発が「早すぎた」せいか、売れ行きはしばらく低空飛行が続いた。転機は2000年。食べやすさを求めて開発した白米にまぜるタイプの雑穀商品「福っくら御膳」を、通販カタログ誌「通販生活」が採用。1年分として製造した10万パック(1パック300グラム)がわずか4ヶ月で完売した。健康食への意識の高まりに加え、同業他社が開発した雑穀米が人気商品となっていたことも追い風となった。
今や「福っくら御膳」は年30万パックがさばける売れ筋商品に。類似商品が増えるなど最近は過当競争気味だが、味や国産原料の徹底などを強みに人気が陰る気配はない。「中国産はコストが3分の1程度まで下げられるが、当社は安心・安全な国内産しか使わない」と石川社長はこだわりを話す。09年、10年度の欧州食品品評会「iTQi」では2年連続で優秀味覚賞を受賞するなど、海外でも品質が認められている。
ただ、国産雑穀の仕入れは容易ではない。生産者の高齢化や収益性の低さなどから、雑穀を進んで生産する農家が少ないからだ。同社は東北地方などの産地に足を運び、雑穀を生産してもらえるように粘り強く交渉。生産者との固い信頼関係を構築し、仕入れ先の拡大を図ってきた。
04年には同業者たちと日本雑穀協会も発足させた、「雑穀エキスパート」などの資格制度を創設し、雑穀文化の普及を目指している。石川社長が抱く究極の目標は「日本農業の再生」だ。「雑穀を日常的に食べている国民はまだ1割程度にすぎず、10年後に5割に増やすのが夢。世界でも認められる国産農産物の販売を通じて、日本の農業を元気づけたい」と意気込んでいる。